2015年 10月 27日
スピリチュアルケアの勉強室 2015年10月 |
患者訪問の心構え、準備と実践
手術や薬物は病んでいる人に必要であっても、それがすべてではありません。また、患者だけでなく、医療スタッフにも内面的な援助が欠かせません。制約された時間の中で、患者の治療だけでなく事務的および医療コスト面などにも考慮を求められる医療従事者の心の痛みに対して、ケアや援助が望まれることも少なくないでしょう。
心のケアの基礎はマニュアル的なものではなく、生きている心です。生きている心は病室内だけではなく、日々の生活スタイルとして身につけるものでもあります。以下に取り挙げる項目はあくまで例であり、必ずしも心のケアの必須条件としての課題ではありません。
学習すべき課題
・傾聴:話すことより耳を傾けることが優先課題。自分自身の内面的な声を聴き、健全な考え/思想と病理的な考え/思想とを弁えるコツ。
・静けさ:情報やITを適切に選択できる余裕をもつことや自分独りだけの時間を大切にする。ニュースや面白くない番組/チャンネルを次々と変えることやスマートフォンの機能に振り回されないように注意。自己にとって健全な番組を選択するコツと責任。
・自分自身の考え/人生観:周囲の意見/習慣よりも自分の体験から得た生活の知恵に基づいた生き方は、多様性のある現代社会において日々向き合うべき課題です。伝統的な宗教や信仰に対して自分の考えを持っていなければ、現代のIS(Islamic State)的な原理主義者になる可能性すらあります。
例えば、ローマ・カトリック教会の教えの内容は、現代の自然科学や精神科学(例:言語の研究)の新たな発見と発展によって絶えず変化しています。言葉の深い理解は今までの習慣を変えていく要因になっています。そのため伝統や習慣を基にしたライフスタイルによる安心感は次第に失われています。
4年前の東北の地震と津波は「まじめに働き、家を建て、定年後は安心して暮らす夢」を破壊し、一人ひとりが新しい人生観を作らざる得ないことを物語っています。
自己のできないことではなく、できることのために全力をつくすことが大切です。
患者訪問の実践
・病室に入る前:「何を話したらいいか」ではなく「自分は今、自分自身であるか」を中心課題にすること。日常生活で外出の途中、突然誰かに会っても「何を話すか」は考えないのと同じです。日々「今」のときを自分が自分らしく生きようとすれば、病室に入るときにも、病室にいるときと同様になります。形式的な生き方は健全ではありません。
・病室内:本ものの自分自身であり続けること。しゃべることや教えること/アドバイスではなく、患者さんに耳を傾けてニーズを聞き取り、応答のために全力を尽くすこと。自分の知らないことは隠さずに認め、何でも知っている振りはしないこと。「私は○○さんのことがよく解ります」と言わないこと。患者さんと同様な体験/病気/手術の体験があっても、それは各々で異なっていることも少なくないからです。沈黙や無力な状況から逃げないこと。どうしてもその場におられなくなったときは、それを正直に患者さんに告げること。「また来ます」や「今日忙しいから」のような言い訳はしないこと。「病気が中心ではなく、相手が中心であること」を意識すること。
「病人さん」と「病気をもっている人」を混同しないこと。人生の最期の時は「死に臨んでいること」ではなく「人生の完成への道程を歩んでいること」だと意識すること。
「時間の問題」ではなく「今の人生の道しるべ」を意識することなどです。「この患者のケース」ではなく「掛け替えのない一人の人間」との出会いが中心課題!
要するに結論として言えるのは、本ものの自分自身であり続けることが大切なのです。
ウァルデマール・キッペス
手術や薬物は病んでいる人に必要であっても、それがすべてではありません。また、患者だけでなく、医療スタッフにも内面的な援助が欠かせません。制約された時間の中で、患者の治療だけでなく事務的および医療コスト面などにも考慮を求められる医療従事者の心の痛みに対して、ケアや援助が望まれることも少なくないでしょう。
心のケアの基礎はマニュアル的なものではなく、生きている心です。生きている心は病室内だけではなく、日々の生活スタイルとして身につけるものでもあります。以下に取り挙げる項目はあくまで例であり、必ずしも心のケアの必須条件としての課題ではありません。
学習すべき課題
・傾聴:話すことより耳を傾けることが優先課題。自分自身の内面的な声を聴き、健全な考え/思想と病理的な考え/思想とを弁えるコツ。
・静けさ:情報やITを適切に選択できる余裕をもつことや自分独りだけの時間を大切にする。ニュースや面白くない番組/チャンネルを次々と変えることやスマートフォンの機能に振り回されないように注意。自己にとって健全な番組を選択するコツと責任。
・自分自身の考え/人生観:周囲の意見/習慣よりも自分の体験から得た生活の知恵に基づいた生き方は、多様性のある現代社会において日々向き合うべき課題です。伝統的な宗教や信仰に対して自分の考えを持っていなければ、現代のIS(Islamic State)的な原理主義者になる可能性すらあります。
例えば、ローマ・カトリック教会の教えの内容は、現代の自然科学や精神科学(例:言語の研究)の新たな発見と発展によって絶えず変化しています。言葉の深い理解は今までの習慣を変えていく要因になっています。そのため伝統や習慣を基にしたライフスタイルによる安心感は次第に失われています。
4年前の東北の地震と津波は「まじめに働き、家を建て、定年後は安心して暮らす夢」を破壊し、一人ひとりが新しい人生観を作らざる得ないことを物語っています。
自己のできないことではなく、できることのために全力をつくすことが大切です。
患者訪問の実践
・病室に入る前:「何を話したらいいか」ではなく「自分は今、自分自身であるか」を中心課題にすること。日常生活で外出の途中、突然誰かに会っても「何を話すか」は考えないのと同じです。日々「今」のときを自分が自分らしく生きようとすれば、病室に入るときにも、病室にいるときと同様になります。形式的な生き方は健全ではありません。
・病室内:本ものの自分自身であり続けること。しゃべることや教えること/アドバイスではなく、患者さんに耳を傾けてニーズを聞き取り、応答のために全力を尽くすこと。自分の知らないことは隠さずに認め、何でも知っている振りはしないこと。「私は○○さんのことがよく解ります」と言わないこと。患者さんと同様な体験/病気/手術の体験があっても、それは各々で異なっていることも少なくないからです。沈黙や無力な状況から逃げないこと。どうしてもその場におられなくなったときは、それを正直に患者さんに告げること。「また来ます」や「今日忙しいから」のような言い訳はしないこと。「病気が中心ではなく、相手が中心であること」を意識すること。
「病人さん」と「病気をもっている人」を混同しないこと。人生の最期の時は「死に臨んでいること」ではなく「人生の完成への道程を歩んでいること」だと意識すること。
「時間の問題」ではなく「今の人生の道しるべ」を意識することなどです。「この患者のケース」ではなく「掛け替えのない一人の人間」との出会いが中心課題!
要するに結論として言えるのは、本ものの自分自身であり続けることが大切なのです。
by pastoralcare-jp
| 2015-10-27 14:04
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